論文・学会発表

iPS財団の事業・研究活動に関する論文のほか、所属職員による学会発表等を掲載しております。

発表論文

Atelocollagen supports three-dimensional culture of human induced pluripotent stem cells

Nakashima Y et al.

Molecular Therapy: Methods & Clinical Development:doi.org/10.1016/j.omtm.2024.101302

臨床用iPS細胞を閉鎖型培養装置内で培養する為には、3D培養が必要と考えられている。しかし、iPS細胞は細胞塊になると分化誘導が進行し易く品質の管理が難しい点が問題であった。本研究では、足場材料の補助材料としてアテロコラーゲンを用いた。その結果、iPS細胞はIntegrin α2β1による仮足を伸ばしたコロニーの状態となり3D培養に適応可能となった。本成果は、細胞治療の専門誌である Molecular Therapy: Methods & Clinical Developmentへ掲載された。

発表論文

Improved Production of Induced Pluripotent Stem Cells Using Dot Pattern Culture Plates

Nakashima Y et al.

Tissue Eng Part C Methods :doi: 10.1089/ten.TEC.2023.0068.

臨床用iPS細胞の製造工程において、細胞を培養プレートへ均一に播種する操作とその後のコロニーの大きさの管理は難易度が高く熟練者の技術が必要とされる。しかし、これまで細胞の播種とコロニーの大きさの管理は作業者の経験に依存してきた側面が大きく規格を設定することが難しかった。積水化学工業株式会社は、生体適合性の高い化学的な足場剤を開発し、その物性は微細な塗工加工性に優れる。当財団と共同研究を行い、細胞培養プレートに細かなドットパターン(点状の模様)を作製した。その結果、播種された細胞が接着可能な位置と、増殖可能な面積に関してiPS細胞の品質が最良となる最適な設定値を得た。本成果は、再生医療の専門誌である Tissue Engineering Part C: Methodsへ掲載された。

学会発表・講演

第14回アジア細胞治療学会学術集会

中島義基塚原正義

Comparative analysis of islets derived from patients with type 2 diabetes and healthy individuals using clinically optimized multi-omics analysis will be enhanced by information obtained from induced pluripotent stem cell (iPSC) generation techniques and perfusion assays.

学会発表・講演

第22回日本再生医療学会総会

北野優子瀧川花穂稲垣梓加藤智朗塚原正義高須直子

3D条件で樹立したiPS細胞(3D-iPSCs)の特性評価について

学会発表・講演

第22回日本再生医療学会総会

中島義基塚原正義

マイiPS用細胞治療セット・プロトタイプの開発

学会発表・講演

第22回日本再生医療学会総会

平野智子坂井一郎北野優子塚原正義

閉鎖型自動培養装置を使用した末梢血からのiPS細胞の樹立検証と課題

学会発表・講演

第22回日本再生医療学会総会

菅原好美平就介、岩山大輔、宮下野恵、塚原正義

汚染管理戦略(CCS)に基づく次世代の細胞調製施設に向けた検討

学会発表・講演

第22回日本再生医療学会総会

加藤智朗大野モニカ塚原正義

体細胞初期化における質的不均一性

発表論文

優れた多分化能を持つヒトのナイーブ型iPS細胞を迅速に作製する方法を発明

Improved Sendai viral system for reprogramming to naive pluripotency

Kunitomi A , Hirohata R , Arreola V , Osawa M ,Kato T , Nomura M , Kawaguchi J , Hara H , Kusano K , Takashima Y , Takahashi K , Fukuda K , Takasu N , Yamanaka S

Cell Reports Methods:doi.org/10.1016/j.crmeth.2022.100317

本研究では新たなセンダイウイルスベクターを用いることで、これまで樹立が困難であった細胞種や培養条件からヒトナイーブ型iPS細胞を樹立できるようになっただけでなく、早期かつ簡便なセンダイウイルスベクターゲノムの除去ができることが分かりました。その結果より優れた多分化能を持つヒトナイーブ型iPS細胞を作製することに成功しました。近年ナイーブ型ヒト多能性幹細胞はその高い多分化能を活用してヒト初期胚の研究に多く用いられており、本法はこれらの研究の発展に貢献することが期待されます。

発表論文

日本人の約40%に適合する再生医療用HLAホモドナー由来iPS細胞ストックを構築

A clinical-grade HLA haplobank of human induced pluripotent stem cells matching approximately 40% of the Japanese population

Yoshida S , Kato TM , Sato Y , Umekage M , Ichisaka T , Tsukahara M , Takasu N , Yamanaka S

Med: doi.org/10.1016/j.medj.2022.10.003

当財団が取り組む「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」の10年間のまとめ論文です。構築したiPS細胞ストックの品質評価データ、製造に使用した試薬・資材、ドナーリクルートやドナー適格性確認の方法、iPS細胞ストックの提供先が実施した臨床試験の概要等をまとめています。品質評価試験の結果、選択されなかったiPS細胞の詳細データなど、iPS細胞製造において課題となる結果も公開しています。

発表論文

誘導肝幹細胞はヒト肝細胞の製造に適する

Induced hepatic stem cells are suitable for human hepatocyte production

Nakashima Y , Miyagi-Shiohira C , Saitoh I , Watanabe M , Matsushita M , Tsukahara M , Noguchi H

iScience:doi.org/10.1016/j.isci.2022.105052

初期化遺伝子を細胞へ導入するとiPS細胞を作ることができるが、元細胞から受ける影響や樹立後(1-20継代)のクローンの特徴はこれまでに分かっていなかった。ヒト肝細胞を初期化した際に、未分化マーカーと肝細胞特異的マーカーを調べた。その結果、肝細胞特異的マーカーを発現したコロニーが樹立後(1-20継代)に見つかり、琉球大学の野口洋文教授はこの細胞をiTS-L細胞(肝臓由来組織特異的幹細胞)と名づけた。iTS-L細胞は、腫瘍を作り難い利点があった。また分化誘導すると肝細胞様細胞になりやすい特徴が示された。 本成果は、自然科学、医学等の分野の科学雑誌であるiScienceへ掲載された。

発表論文

ヒト誘導多能性幹細胞のコーティング材料としてラミニン221を用いたSemi-3D培養

Semi-3D cultures using Laminin 221 as a coating material for human induced pluripotent stem cells

Nakashima Y , Yoshida S , Tsukahara M

Regenerative Biomaterials :doi.org/10.1093/rb/rbac060

ヒトiPS細胞を自動化で樹立するためにコロニーピックを行わないバルク法が注目されている。 しかし、バルク法では遺伝子導入ベクターが継代後長期に残存しやすい課題があった。我々は、培養ディッシュのコート材に用いられる、ラミニン221と呼ばれるタンパク質に着目した。その結果、ラミニン221がヒトiPS細胞の未分化状態を維持し、 さらに遺伝子導入ベクターを排除しやすいことを発見した。
本成果は、生体材料の専門誌であるRegenerative Biomaterialsへ掲載された。

発表論文

ポリマー足場材料に対するヒト膵臓から単離された各種細胞の接着特性

Adhesion Characteristics of Human Pancreatic Islets, Duct Epithelial Cells, and Acinar Cells to a Polymer Scaffold

Nakashima Y , Iguchi H, Takakura K , Nakamura Y , Izumi K , Koba N , Haneda S , Tsukahara M

Cell Transplantation : doi.org/10.1177/09636897221120500

糖尿病患者に対する細胞治療方法として、膵島移植や iPS細胞を用いた治療方法が注目されている。 しかし、これまでヒト膵島を高く生存維持したまま培養することは難しかった。 積水化学工業株式会社は、ヒト膵島の生存を飛躍的に高める化学コーティングプラスチックを開発した。 株式会社東海ヒットは、ヒト膵島を培養しながら測定できるperifusion assay機器を開発した。 当財団と、上記 2社は共同研究を行い、新規のヒト膵島の培養維持、および測定方法を開発した。 本成果は、細胞移植の専門誌である Cell Transplantationへ掲載された。

発表論文

ラミニン511はFyn-RhoA-ROCKシグナル伝達を介してヒトiPS細胞の生存を高める

Laminin-511 Activates the Human Induced Pluripotent Stem Cell Survival via α6β1 Integrin-Fyn-RhoA-ROCK Signaling

Nakashima Y , Tsukahara M

Stem Cells and Development : doi.org/10.1089/scd.2022.0010

臨床用iPS細胞は、シングルセル播種と呼ばれる細胞 1つ1つをバラバラにして播く独特の培養方法が取り入れられている。しかし、iPS細胞は細胞死を起こしやすく、これまで臨床用iPS細胞をシングルセル播種できる仕組みは分かっていなかった。我々は、培養ディッシュのコート材に用いられる、ラミニン511と呼ばれるタンパク質に着目した。 その結果、ラミニン511タンパク質が細胞死を制御するシグナル伝達経路(Fyn-RhoA-ROCK) へ作用していることを発見した。本成果は、幹細胞の専門誌であるStem Cells and Developmentへ掲載された。

1 2 3 4